3-4.その他流動資産
①経過勘定の意義
収益・費用の中に次期以降の分が含まれている場合は、これらを当期
の収益・費用から除外し、翌期以降の収益・費用とすること(繰延べ)、
また、収益・費用のうち当期に帰属させるべきですが、金銭の収受が
無いため当期の収益・費用とされていないものを当期の収益・費用に
計上すること(見越し)をいいます。
<発生する仕訳>
前払費用(資産の計上) / 費用勘定(費用の取消)
収入勘定(収入の取消) / 前受収益(負債の計上)
費用勘定(費用の計上) / 未払費用(負債の計上)
未収収益(資産の計上) / 収入勘定(収入の計上)
②前払費用の例
11月1日に向こう1年間のPCの保守費用12,000を支払った。
すなわち、下記の図のように当期の費用とすべきでないものについては、前払費用として資産に振替し、来期以降に繰越、必要なタイミング(役務に対応するタイミング)で費用化することとなります。貸借対照表の観点から見れば、今後、役務を受ける権利を有しますので「資産」となります。
なお、次のいずれの方法でも結果は同じとなりますが、月次決算の便宜から一般的には第2法が採られることが多いと思われます。
第1法 11/1 (借) 支払保守料 12,000 (貸) 現金預金 12,000
3/31 (借) 前払費用 7,000 (貸) 支払保守料 7,000
第2法 11/1 (借) 前払費用 12,000 (貸) 現金預金 12,000
3/31 (借) 支払保守料 5,000 (貸) 前払費用 5,000
いずれも翌期 (借) 支払保守料 7,000 (貸) 前払費用 7,000
③その他流動資産の意義
その他流動資産には、経過勘定のほか、仮払金、立替金、前払費用、
未収入金などがありますが、将来、現金で回収又は換金される性質のものか、
将来費用化される性質のものかによって、会社の財務安全性等に与える評価
は異なります。すなわち、金銭で回収できるもの(貨幣性資産)と将来費用
処理されるもの(費用性資産)があります。
④費用性資産と発生主義との関係
費用性資産は、企業会計制度が現金主義ではなく、発生主義を採用している
ことから肯定されるものです。