③M&A等による売却

③M&A等による売却
 M&A等による売却手法としては、大きく分けて、株式の譲渡、事業の譲渡、合併、会社分割、株式交換があります。
 合併、会社分割、株式交換のイメージ、メリット・デメリットについては、『組織再編会計』をご覧ください。この際最も重要な事項として売買価額の合意があります。売り手・買い手それぞれでデューデリジェンスを行い、双方が納得できる価額を模索する必要があります。

A)株式の譲渡
 文字通り株式を第三者に譲渡します。
 全株式を売却するのであれば問題ありませんが、一定の株式を残す場合、議決権を残すかどうか(残す場合拒否権付条項を定めるかどうか)、配当優先かどうかなどを合わせて検討する必要があります。税金の観点では、株式の譲渡に対し、所得税が課されます。

B)事業の譲渡
 株式(所有持分)ではなく事業を譲渡する方法です。例えば、製造業と創業者一族の不動産管理業を一つの法人で実施している場合、不動産管理業は創業者一族に残し、製造業を事業承継させたいなどのケースもあります。
 この場合、製造業に係る事業のみを他社に譲渡することとなります。事業譲渡はのちの会社分割のように組織法上の行為ではなく契約に基づく譲渡ですので包括承継ではなく個別譲渡となります。そのため譲渡する事業に係る物・人・権利などを明確に定める必要があります。税金の観点では、法人に譲渡損益が発生し、法人税の対象となります。

C)合併
 自社を他の会社に吸収合併させる方法です。上場企業との合併の場合、合併の対価として、吸収した側の企業の株式を代わりに取得することにより、自社株式を市場で売却可能な株式に交換することができます。すなわち、M&Aに際して、資金が無くても可能なスキームとなります。
 合併の対価として金銭を取得することもでき、その場合は株式の譲渡と同じ効果が得られます。

D)会社分割
 自社が2つ以上の部門を有している場合(例えば、製造業と創業者一族の不動産管理業を一つの法人で実施している場合、不動産管理業は創業者一族に残し、製造業を事業承継させたいなどのケース)に、一つの事業の包括的に他の企業の移管することができます。
 また、この場合に会社は、当該他の企業の株式を取得することとなりますが、金銭で分割することも可能です。

E)株式交換
 自社を他の企業の完全子会社(いわゆる100%子会社)とする代わりに、その親会社の株式を取得する方法です。自社の法人格(商号等を含む)を存続させることができますので、

 それぞれの手法の具体的なイメージは、『組織再編会計』をご覧ください。