5-1.仕入債務
仕入債務は短期間に現金で支払わなければなりません。これを弁済できない場合、会社は倒産することとなりますので、経営管理上は非常に重要な科目です。
①仕入債務の意義
支払手形と買掛金を総称して仕入債務といいます。
買掛金とは商品を購入したり、サービスの提供を受けた場合に、その時点ではなく一定期間後にまとめて
支払う約束を行った場合に発生する債務、すなわち、信用取引による仕入を行った場合の後日支払う代金の
ことをいいます。
一方、会社が支払手段として手形を振出した場合、支払手形として処理します。
支払手形には支払期日があって、期日に必ず決済されます。
手形が決済されないことを手形の不渡りといい、不渡りを2回出してしまうと
銀行取引停止処分を受けます。銀行取引停止処分を受けるとすべての銀行取引が
停止となり、決済手段を失うこととなりますので、実質的に会社が倒産する結果
となります。
なお、為替手形は実務上あまり利用されておらず、一般的には約束手形が利用されています。
②仕入債務残高
このように仕入債務はいずれも決済期日が決まっていますので、会社の取引規模及び決済条件から
仕入債務残高を合理的に算出できます。
この取引規模と決済条件から考えて異常な残高がある場合、支払いを待ってもらっているなど資金
繰りが厳しい場合や仕入を会計処理していない(=費用を計上していない)可能性があります。
③支払手形と印紙税
支払手形(約束手形及び為替手形)を振り出す際には、金額に応じて印紙税が課されます(収入印紙を
貼付・割印する必要があります)。
紙の支払手形については、紛失・盗難等のリスクもあり、印紙税が課されますので、最近は、電子手形
(電子記録債権)の利用が増えてきています。電子手形は、紛失リスクが軽減でき、文書ではありません
ので印紙税も課されず、必要な分だけ分割譲渡・分割割引ができるなどの利点もあります。
④手形の割引
手形は信用力の証でもありますので、期日における決済のほか、期日前に割引することもできます。
すなわち、経済行為としては、手形を担保に金融機関から借入する形となります。